英ポンド/円相場は、2月7日の147.98円をピークに、足元では142円台中盤から後半まで値位置を切り下げる展開になっている。今週末はイタリア総選挙を控えているが、ユーロ危機の後退を受けて「安全資産としてのポンド」に対する投資需要が減退している。加えて、円売り圧力が一服する一方でイングランド銀行(英中央銀行)の新たな金融緩和策に対する警戒感が浮上していることも、ポンド相場を下押ししている。
イングランド銀行は20日、7日に開催した金融政策委員会(MPC)議事録を公開した。ここでは、資産買い取りプログラムの規模を3,750億ポンドで据え置くことが決定されたが、キング総裁とフィーッシャー委員、マイルズ委員の3人が、250億ポンドの拡大を主張していたことが確認された。政策金利を過去最低の0.5%で据え置くことは全会一致となっているが、ここにきて経済成長への懸念から追加緩和策の必要性を認識し始めているメンバーが増えていることは間違いない。資産購入枠の拡大以外に、英国債以外の購入、銀行預金準備に関する変更なども議論されるなど、幅広い支援策が協議の対象になっている。このため、対米ドルでポンド売りの動きが加速しており、ポンド/円相場もその影響を回避できていない。日米の金融緩和政策の踏み込み度合いからみれば、ポンド安・円高が大きくないだろうが、ポンドの上昇余地は限定的とならざるを得ない。
一方、安倍首相と麻生財務相がともに日銀の外債購入に否定的な見方を示すと同時に、為替市場に関する発言を行わなくなっていることが、円安圧力に一定のブレーキを掛けている。ただ、来週にも日銀総裁人事には大きな進展が予測される中、本格的な円高が進むリスクは限定的だろう。
今後1週間の予想レンジは、140.00~145.25円。